樹木葬墓地視察から感じたこと

tayuhama8月1日、新潟市の樹木葬墓地を視察しました。
この墓地は太夫浜霊苑という新潟市開発公社が運営する公営霊園です。
近年、「終活」という言葉が使われていますが、亡くなったあとの葬儀や埋葬方法について考える時代になっています。
埋葬方法については、それぞれの信仰や考え方があるため、どの形がよいかというのは、人それぞれです。
先祖代々のお墓があるご家庭もありますが、本家・分家などの事情や一人っ子同士の結婚により、夫婦の両親のお墓も含めて考えるというご家庭も増えています。
また、お墓の購入には多額の費用がかかり、お墓の維持管理も、お正月、お彼岸、そしてお盆の暑いときの墓掃除等、お墓を守る人の経済的・身体的負担も考えられています。
例えば、85歳で亡くなった親の墓参りを続ける60歳の子は、20年たてば80歳になり、墓守をすることが身体的に難しくなって来ます。また、子が地方や海外に在住になることも多く、お墓との距離があればなかなか難しくなることも多く、「墓じまい」という言葉も昨今生まれています。
そんな中、お墓の新しい形として、樹木葬墓地が挙げられます。
墓石の下に眠っているのではなく、樹木や芝生の下に眠っている墓苑になります。
今回視察した太夫浜霊園にある樹木葬墓地の検討に向け、アンケートがとられましたが、その中でも、新しい墓地を取得するとしたら「従来型墓地」を希望する人が57%、「樹木葬型合葬墓地」を検討する人が21.2%という結果に。さらに墓じまいに関心がある人が26.9%となっています。
樹木葬墓地は、新たに墓地取得する人だけでなく、無縁化している一般墓地の樹木葬への改葬を行い、「墓じまい」としての改葬を進めているケースもあります。
視察して特徴的だったのは、樹木葬墓地を購入している人(埋葬される人)のほとんどがご存命の方で、終活として樹木葬墓地を購入しているとのことです。
市営霊園の倍率が高かったり、区画と墓石によっては高価になったりしているとともに、無縁化している墓地の改葬を進めるケースを考えても、樹木葬のニーズは今後も高まってくると考えられます。
さらに、現在、マンションタイプのお墓があったり、散骨を希望される方がいたりと、ニーズは多様です。
現時点でのことだけでなく、将来的なこと、例えば墓守する子や孫のことを考えることが必要です。
かつて、農村部の地域によっては、「塚」に合同埋葬していた事例がありますが、この形式に近いのが樹木葬墓地ではないかと思います。
終活と家族のコミュニケーション
終活は、高齢者だけでなく、親子や孫も交えて、いろんなことを話すきっかけにしていくべきと思います。
お墓の種類や葬儀の方法はもちろん、老後の過ごし方や認知症の度合いが強くなったときの過ごし方など、家族と話し合うきっかけをつくり、コミュニケーションを深めることが、互いの理解につながります。
振り込め詐欺は高齢者の孤独から始まるケースが多いため、このような終活を考えることで、家族との関係を深めるのもいいことではないかと思います。